それなりの地獄

日記、ポエジーの排泄

うすらい

薄氷乗りの少年

わたしの二の腕みたいな太もも

ひふの下にペチカ

 

画家の才能があったのです

ブルーの太陽

ミルク色の海

けど、やめちゃったんです

彼は薄氷乗り

 

夏は嫌い

春も嫌い

世界に秋はない

 

冬は薄氷乗りの季節

 

遠く かなた

人差し指の先にふれた

さかなの死骸がうつくしく遠吠えをあげた

音の分子が空に混ざり

エントロピー

世界はその瞬間

 

薄氷乗りの少年

わたしの二の腕みたいなユーモア

あの日、冒険に出た

世界が流氷のふるさとの音にそまった日

人差し指の先にはとうめいな明星

 

ところで、

薄氷乗りの少年が、画家を諦めた理由

それは、画家は、

重さがあるから

 

皮膚の温度で溶けて消えてしまうような氷に

画家のからだは重すぎる

色彩は重すぎる

ってはなし

 

馬鹿げてる、と思うだろう

でも、ほんとうのはなし

わかるだろう

 

世界が死んでしまう手前の永遠

時の粒子が薄く膜を張る膝下の憂鬱

 

薄氷乗りの少年

薄氷乗りの少年

薄氷乗りの少年

 

この季節はさいしょでさいご

 

いきた、「わ!」、

 

薄氷乗りの少年

つま先から髪の毛の先まで、かみさまに愛されてた

薄氷乗りの少年

わたしの二の腕みたいな絶望

いろは重いから

 

薄氷乗りの少年

 

ぎぃ、ぎぃ、

 

世界は子宮

母の産声

わたしの絶望に似た

少年は

薄氷の下

 

広告を非表示にする