きゅるきゅると、

一等星が光る音をきいていた

 

からからと、

彗星が地球のきわを走り抜ける足音をきいていた

 

 

私の頬に青い草が触るのを、

なんでもないような気持ちで感じている

 

じきに、君が飴色のスープを運んできて、

わたしたち、そこで、おしゃべりをしながら、

少しだけ死んでいくのだ

 

夜空が思ったより近くて、

あの憂鬱すら、その深い真空に吸い込まれて、

私の体は少しだけ軽くなっていった

 

君は、どんな本が好きだった?

 

たくさん、話がしたい

 

わたしたち、結局、出会えなかったから

 

君は死んで、

私は、死んでしまった君のことを思い出したりしていた

 

君の好きな音楽や映画、君を形作った細胞の、

ほんの少しだけのこと

 

私はいま、雨の中、

自己肯定ばかりに気を取られて、

何も聞こえません

 

一等星は息を潜め、彗星は世界の裏側で眠りについています

 

私の体は、日に日に鈍くなって、

もう、腐る細胞すらないのに、

息をしている

 

輪の中で生きなければいけないよ

 

と、誰かが言って、

わたしは、その通りだと思った

 

太陽が、わたしの体に 

凡庸

という言葉を塗り込んで沈んでいく

 

夜だけ数えて、わたしは、君に会いたかった

 

きっと、話は合わないし、

君は、賢すぎるから、

わたしのことなんてすぐに飽きてしまうけれど

 

だからこそ、わたしは君に会いたかった

 

会って、けいべつされたかった

死んでまで、絶望していたいね

 

きゅるきゅると、からからと、

おとはなく、

誰かがわたしの頬を撫でていたことすら、

忘れていきている

 

わたしは、きみがすき

きみに、絶望されて、いきていたい

聡明で、美しく、若い女の子から順に殺していく世界で、

聡明でも、美しくもなかったわたしは、いつもその輪から弾き出されていた。

 

酸素は毒だから、わたしはいつもなるべく息をしないように生きていた。

 

細胞が死滅して、腐臭を放つことを老いと呼ぶなら、

どうして生きたいなんて思えるの。

君が生きているだけで、わたしの身体中の水分が腐っていく。自尊心が壊され、少しだけ死んでいく。君が生きているだけで。

 

音楽を聴いている。君の知らない音楽を。

 

分からないことで可愛がってもらえた日々を、

懐かしく思えたら、

それは幸福なこと。

 

腐臭を放つ時間を、愛する人と手を繋いで生きていけたら、

それは幸福なこと。

 

死ねと思いながら生きる時間を、

理解できない君は、

幸福なんだ。

 

いきて、しんで、いきて、しんで

 

私たちは少しだけ、腐る。

たくさん死んで、

 

たくさん蘇って、

 

痛みや苦しみだけがのこっている。

 

睡眠の残骸だけ食べて、生きている。

 

 

陶器

世界で一人だけで苦しんでいるような気持ち

 

になってる

 

細胞と細胞の隙間に、

 

私は、心の底からの侮蔑を 注ぎ入れてあげるからね

 

からだじゅうの水分が全て、

愛情でできているフランス人形

 

わたしたち、すこしも、

かわいそうなんかじゃなかったよね

君は言葉だけがつよい

死んでしまった君が、死ぬ直前に見たせかいの美しさが、

このせかいのほんとうの美しさなら、

私はきっと、死ぬまでそれを知ることはできない

 

 

年を重ねれば重ねるほど、細胞が腐り落ちてゆく

遠くの夕立の湿り気を帯びた凪が身体を愛撫する感触にすら、私は気がつかない

私だけが、気がつかない

 

憎しみとも優しさともつかない感情で器を満たして、

ゆらゆらと揺れる遠くの蜃気楼を冷やしている

 

さわさわと、繁る若葉が鳴いています

 

夏に生まれた子供だけを、世界が祝福しています

 

緩やかに死に向かう

 

君のポエジーは、まだあのビルの屋上に

 

魂から憂鬱だけを引き剥がして、恋愛ばかりしていたい、夏に

 

君はいない、最初からいない

 

さわさわと、繁る若葉がないています

 

 

 

苦しみだけが先走って、死にたさだけがわたしの心に残されている。

青春の無念も、真夜中の諦念も、幸福と対比させることができないほど臭気を放つから、せめて、それらを抱きしめて眠る。

美しさが、もしもほんとうに、世界中にある正しさを端から端まで殺して回っても余るほどのものだとしたら、死んでしまった女の子たちも、戻って来てくれるのでしょうか。

たかがこんな人生に

‪生きれば生きるほどに、苦しくなります辛くなりますおかしくなります。‬
‪私が私から乖離して、刷新や成長という言葉に改変されていけばいくほど、地獄の底に近づくような気持ちになります。‬
‪私が私から離れていかぬよう、言葉で繋ぎとめようとすればするほど、煉獄の端に追いやられるような気持ちになります。‬
‪喜びや素晴らしさすら蔑ろにするような人生の難しさに、心が軋みます。些細な絶望ばかりで、私の身体が見知らぬ誰かに糾弾されるほど、深く深く、私の生命に善意が侵食して殺そうとするのがわかります。‬
‪いつかほんとうに、おかしくなってしまう。恐ろしい。‬
‪私の身体の一体どこに、心は根を張っていますか。それを、毟り取ることはできますか。‬
道徳心から遥か遠く、辺境の地に、安住の地はありますか。‬
‪心の底から、人を慈しみたいですか。疑いもなく、私たちが完成していると思いますか。‬
‪断絶は遥か遠い。勘違いばかりの退屈な世界。私を苦しめるのは私だけ。地獄も煉獄もない。ここは健やかな天国の端。